東日本大震災被災地支援-Great East Japan Earthquake Relief-

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背景

 被災地での医療機関の機能不全および医師不足に対して、震災直後の援助は公立や大規模病院に集中し、民間の医療機関への支援はほぼ皆無であった。地域医療復興を継続的に行なうためには、公立、民間の区別なく医療環境全体を見渡した上での、支援の新たなスキームを創る必要があった。具体的には、地域医療の重要な担い手であった民間の診療所の再開のための支援、復興した医療機関が地域の被災者を支える為に、新たな核として機能するための支援が必要とされた。そこで、被災地の医療機関の復興を支援し、地域の医療を守り人々が安心して暮らせるコミュニティを再生するために、プロジェクトが開始された。

 

活動内容

 住民の状況、医療体制とその被害度合いなどの現地の状況や、医療圏の状況を調査することなど、高齢者、助産婦、小児の3大テーマである地域の医療ニーズの整理を行ない、地域状況に合わせた優先順位を検討しながら、被災した病院、診療所へハード、ソフトにおける復興支援を行なった。

宮城県気仙沼市立本吉病院復興支援

 

背景

 2011年3月11日の東日本大震災によって被災した本吉病院は、被災後は常勤の医師がいない中で、被害を受けた病院機能の復旧が最優先課題であった。常勤医を確保した後は、地域医療の新たな拠点となるべく在宅医療を開始したが、福祉や多職種との連携事業は始まったばかりで、経験も不足していた。在宅医療体制の推進のためには、訪問看護は、本来は歯科医師、薬剤師、ケアマネ、ヘルパー等、多職種連携が必須であるが、地域住民のみならず専門職も在宅医療や多職種連携の認識が不足していた。そこで、厚生労働省の在宅医療連携拠点事業補助金を受けて、研修やシンポジウムを実施し、在宅医療体制の強化と連携機関関係者の技能等の向上を図るために、プロジェクトを開始した。

 

活動内容

 本吉病院と各事業所に必要な研修を提供した。株式会社メディヴァによる全5回に及ぶ在宅医療に関するセミナー、在宅医療コーディネーター実地研修、2回の連携拠点事業者実地研修、在宅医療担当医師・看護師実地研修を、またニチイ学館による5回にわたる医療事務研修を行なった。

 また、症例検討会や意見交換会を通して、患者の情報交換とシステム作りを行なった。iPad端末による地域医療連携支援システムを導入し、それによって、患者の訪問スケジュール、訪問記録、薬剤項目などの患者医療会御情報を、医師、訪問介護、ケアマネなどの連携施設担当者間で、簡単に、迅速に共有することが可能となった。そして、地域住民への普及および啓発のために、在宅医療シンポジウムを2回にわたり実施した。

岩手県気仙地区消防団員のためのPTSD Follow Up調査と心理的介入事業

 

背景

 被災地域消防団員の心の健康状態の把握と健康(心理)教育の提供。必要症例における専門家介入への導入と長期的なフォローアップを目的とし、事業を開始した。

 

活動内容

 2011年10月〜2012年1月にかけて実施されたIES-R調査の結果をもとに、「陸前高田市消防団への相談所」を開設。陸前高田市消防団員の方々に被災から1年が経過した時期に、自分の健康を確認して自己管理に役立ててもらうために、うつ病とPTSDの査定、精神保健に関する情報提供を含めた精神保健相談を実施した。

 内容としては、来談者のニーズを把握するための情報収集、緊急性のアセスメント、うつ・PTSDのスクリーニング意、現地相談機関に関する情報提供を行なった。また、最後の活動改善のためのフィードバックをもらうアンケートを実施した。

 それと並行して、陸前高田市消防団員全員への情報および健康教育を提供した。一般的に生じやすい身体症状や精神症状等のストレス反応、起こりやすい疾患として、PTSDとうつ病に関する情報提供、リラクゼーション技法、相談機関・医療機関の紹介等の健康教育を実施した。

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背景

 東日本大震災を受けて、日本プライマリ・ケア連合学会はプライマリ・ケア(家庭医療・総合医療)の学術団体として、医師をはじめとする多職種の医療専門職で構成された災害医療支援チームを立ち上げた。被災した地域住民に必要な医療を提供すると共に、保健・医療・介護職、そしてその人々を支えるすべての日本国民・世界市民にプライマリ・ケアの理念と実践を届けるために、プロジェクトを開始した。

 

活動内容

活動レポート
PCAT 2011年度活動報告(PDF FILE)
PCAT 2012年度活動報告(PDF FILE)

 

涌谷プロジェクト

    涌谷ハブ:2011年3月~12月(涌谷町国民健康保険病院 研修館)

      岩手県南部から宮城県北部にかけてPCATが行うほぼ全ての活動の拠点。
    遊楽館避難所:2011年4月~9月

      石巻市の文化複合施設「遊楽館に作られた要介護者のための避難所。立ち上げから9月末の閉鎖までの期間、PCATは医師、薬剤師を駐在させ、避難所の医療支援にあたった。
    SSB(ショートステイベース)避難所:2011年6月~7月

      石巻災害対策本部よりPCATが運営を任された要経過観察者一時避難所。石巻ロイヤル病院の4階に設けられた。上下水道の通っていない病棟での最初の作業は浄水器の設置。感染症や慢性疾患の悪化など、医師、看護師を常駐させ、状況に応じて適切な医療機関への橋渡しを行なった。
    石巻市雄勝地区支援:2011年3月~9月

      石巻市でも山がせまる海沿いにあり、アクセスの困難な雄勝地区(被災前の人口およそ4300人)は津波で甚大な被害を受けた。高台にある小学校に避難した被災者の支援活動にあたっていた医療チームが撤廃するとの情報を受け、PCATは急遽医師を派遣、支援活動を開始。その後は、仮設の役所内に設置された診療所へ定期的に医師を派遣した。

藤沢プロジェクト

    藤沢ハブ:2011年3月~10月

      PCAT先遣隊がまず確保した拠点。10月に拠点としての役割を終えたが、それまでの活動からニーズを汲み、その後も継続された気仙沼市での支援活動の支えの一つとなった。
    医師レスキュープロジェクト:2011年3月~6月

      k-wave(気仙沼市綜合体育館)など避難所に避難しながら、不眠不休で診察・治療にあたっていた現地医師の代診をPCATが支援することで休息をしてもらう、というPCATの原点となる支援活動。
    K-WAVE避難所:2011年3月~4月

      気仙沼市の体育館には一時2000人の住民が避難。広い避難所で発熱患者が発生した際、昼夜交代で見回り診療を行なっていたPCAT医師は他の医療支援団体と協力し、原因究明と感染対策にあたった。
    気仙沼中学校救護所:2011年3月~5月

      気仙沼小学校・中学校・公民館の連合避難所には最大1800名が避難。咳をしている高齢者が多数いることを確認したことから、対策の必要性を認識。避難所における高齢者の肺炎増加阻止のため、ワクチンメーカーの協力のもと肺炎球菌ワクチンの提供を行なった。後半は、鍼灸師の派遣も行なった。
    JRS(巡回療養支援隊):2011年4月~9月

      PCATがレスキューを行なった医師が震災前から担当していた在宅訪問診療をさらに発展させ、震災が増加したニーズにこたえるべく、高齢・在宅・医療過疎地域支援のためにつくられた組織の名称。PCATから派遣された医師らは、気仙沼市立病院の医師やNGOなどと協働しながら在宅診療を行なった。

福島プロジェクト

    南相馬リハビリ専門家派遣:2011年9月~2012年4月

      原発被害、津波被害によりリハビリ部門の医療者不足となった南相馬市立総合病院に、広島大学リハビリ学教室から理学療法士、作業療法士を派遣。高齢者の生活の質の維持・向上を目指した。
    福島県原発被災地健診事業:2011年6月~8月

      原発周辺自治体からの委託事業として健康診断・健康相談の依頼を受けた東京大学医科学研究所からの要請により、飯舘村、相馬市、川辺町にて行なった計4回の健診へ、PCATから医師を派遣。

公衆衛生/特殊支援プロジェクト

    肺炎球菌ワクチン接種:2011年5月

      気仙沼市の避難所で実施した高齢者対象の予防接種。およそ5500人にワクチン接種が行なわれ、PCATは後方支援としてコールドチェーン(冷蔵用具)の準備に携わった。
    PCOT(助産婦母子支援プロジェクト):2011年3月~2013年3月

      助産婦支援プロジェクト。産婦人科医、助産師を派遣し、被災した産婦人科医院を支援。石巻市、東松島市、女川町、陸前高田市などの行政と連携して、新生児訪問や子育て支援センター支援を行ない、被災後の助産婦の不安の解消に努めた。
    ダニバスターズ:2011年7月~9月

      避難所の衛生状態を懸念したPCATボランティアが、他団体と協働で実施したダニ・カビ退治のプロジェクト。のべ1900人が活動に参加。行政との連携のもと専門家の助言を受け、避難所の環境整備に取り組んだ。
    Ψ Project(サイ・プロジェクト):2011年7月~2013年3月

      避難所で実施した心の問題の調査結果を受けて始まったプロジェクト。PCATは災害対策本部と連動しながら精神科医、臨床心理士、心理療法士、プライマリ・ケア医からなる独自のチームを形成。心のケアに乗り出した。
    支援者支援プロジェクト:2011年7月~10月

      医療者をはじめとする支援者自身の心のケアを目的にした事業。PCATは地元温泉施設での日帰り研修ツアーの実施や、石巻警察署、河北署に進級しを派遣し、被災した支援者に気分転換の機会を提供した。
    気仙沼市立本吉病院 後期研修医派遣:2011年10月~2012年8月

      人口1万人の本吉地区唯一の病院でありながら、津波被害で2階建ての1階部分が壊滅し、常勤医は不在となり院長赴任後も困難が続く本吉病院。1日100名の外来患者の診療、要介護者の訪問診療を支援するため、PCATは医師を短期派遣したほか、家庭医療後期研修医を1ヶ月交代で派遣した。
    健康カフェ/健康相談:2011年7月~2012年4月

      仮設住宅居住者のための体と心の健康相談を行なうプロジェクト。PCATの臨床心理士が常勤スタッフとして平日に石巻や東松島、気仙沼の仮設住宅を訪問、隔週日曜には非常勤医師や参加希望の医療者が加わり、規模を拡大して集会室でお茶を出しながら(お茶っこ)、健康相談会を実施した。
    PFA(Psychological First Aid)講習会:2011年10月~2013年3月

      PCATサイプロジェクトチームが講師を努める、災害支援に携わろうとする全ての人を対象とした、こころのセルフケアの研修。PCATは発足当時より派遣前研修を行なって来たが、10月からは、PCAT派遣スタッフ必修の研修としてPFA講習会を開催している。医療者のみならず、学生や災害支援に関心のある医療者も多数参加している。